2011年10月14日

残念なシステム

昨年、日本PHPユーザ会様の掲示板で、オープンソースソフトウェアのライセンスについてコメントしたことがあった。

http://bbs.php.gr.jp/topic-250.html

その際、経済産業省のサイトで公開されていた資料を参考にさせてもらった。
ところが先週、別件でライセンス関連の調べものをしようと経産省のサイトを確認したところ、当時の公開ページそのものが削除されていた。
経産省のサイトで当時の資料を検索したが見つけられなかったので、昔、私が経産省のサイトからダウンロードした2種類のPDFを、ここで公開させて頂く。

【資料A】オープンソースソフトウエアの利用状況調査/導入検討ガイドラインの公表について(64,614Byte)(*1)
【資料B】オープンソース・ソフトウエアの現状と今後の課題について(1,365,072Byte)(*2)

【資料B】は、日本PHPユーザ会様の掲示板で私が「2番目のPDF資料」としていたものである。

上記PDFは、税金で作成された、極めて有益な資料であるにもかかわらず、削除されたと思われることが残念でならない。
もし経産省に「公開後、一定期間経過したページや資料は削除する」みたいなルールがあるのだとすれば、それは残念な運用ルールである。

このように、残念なルールで運用されているWebサイト・システムや、仕様そのものが残念なWebサイト・システム等を目にすることは少なくない。
久しぶりのブログ更新では私が身近に感じている「残念なシステム・Webサイト」を何点か語ってみたい。
個々の事項に関連性はないが、多くのシステム開発の現場で有益なものだと思うので、より良いシステム開発の一助になれば幸である。

1.桁区切りの無い取引番号

Webサイトでショッピングをしたり、あるいは業務系システムで何らかの情報を登録したりすると、
「今回のお取引番号は1234567890です」
のように「取引をユニークにする番号」が表示されることが多い。
しかし、このような長ったらしい情報をそのまま表示するよりも
1234-5678-90
のように桁を区切って表示すべきである。
特に取引番号の体系に意味を持たせている場合、その情報で区切って表示すべきなのはいうまでもない。
例えば
2310140035
という情報が、
2桁の支店番号 + MMDD形式の日付 + 4桁の取引番号
という意味を持っているのであれば、
23-1014-0035
と表示すべきである。

2.使いやすい画面

システムの開発ツール類等が非常に増え、一昔前では想像もできなかったような「見映えの良い画面」を作成することが可能となった。
しかし「見映えの良い画面」が「使いやすい画面」とは限らない。

【メニュー】
メニュー項目には、サブメニューを「展開するもの」「展開しないもの」がある。それらが明確にわかるほうが好ましい。開発ツールによっては、そういう機能を備えている場合もあるが、そうでない場合、メニュー項目の先頭に例えば+(プラス記号)を付与する等で何らかの工夫を行うべきだ。また、メニュー選択後は、どのメニュー項目が選択されたかがわかるようにすべきだ。

【ダイアログ画面表示方法】
ダイアログ画面を表示するメニュー項目やボタンには「...」(ドットを三つ連続させたもの)を付与したほうが好ましい。

【画面ID】
画面をユニークにするIDを付与し、画面のどこかに表示すべきである。(HTMLのDIVタグで表示されるエリアだけの画面遷移を行うような場合も、DIVエリアにIDを表示すべきである。)

【メッセージID】
メッセージをユニークにするIDを付与し、メッセージ出力時に表示すべきである。

3.金融関連サイトの3か月ルール

銀行やクレジットカード会社のなかには、個人向けWebサービスを提供しているところが少なくない。
「銀行であれば残高の確認や別口座への振り込み」
「クレジットカード会社であれば利用履歴の確認」等が行えて便利である。
また、銀行での入出金履歴や、クレジットカードの利用履歴をCSVでダウンロードできるサイトも多い。
これはこれで便利なのだが、なぜか「CSVでダウンロードできる期間は過去3ヶ月」の取引に限定されることが多い。
なぜ3ヶ月なのだろうか。
自営業者は、確定申告を2月中旬~3月中旬に行わなくてはならない。
パソコンや会計ソフトの普及で、税理士に頼まずに確定申告をする人も多いと思うが、その際、
「確定申告を行う2月中旬~3月中旬」に「前年の1月~12月の履歴」がダウンロードできれば、非常に便利である。
(クレジットカードに関しては、前々年の10月頃からの履歴がダウンロードできれば好ましい。前々年の10月頃以降の取引が決済されるのは、前年になることがあるからだ。BSでは「買掛金」や「未払い金」等で計上する負債になる。)
ただ漠然と「3ヶ月もあれば十分だろう」的な安易な発想は改めるべきである。

4.WebサイトのURL

WebサイトのURLは、ブラウザのブックマーク機能でマークされることを前提に、極力変更を避けるべきである。
非常に残念なURLを紹介する。

・JR常磐線北松戸駅の上りの時刻表(平日)
http://www.jreast-timetable.jp/1110/timetable/tt0588/0588020.html
・JR常磐線北松戸駅の上りの時刻表(休日)
http://www.jreast-timetable.jp/1110/timetable/tt0588/0588021.html

上記は、JR常磐線北松戸駅の上りの時刻表である。
何が残念なのかというと、URL中の1110が「YYMM形式の年月」なのである。
従って、来月以降、1110の箇所を変更しなければアクセスできないのである。
平日と休日の区分も、平日にアクセスすれば平日の時刻表、休日にアクセスすれば休日の時刻表をデフォルト表示させれば、より使い勝手が良くなる。

5.問い合わせフォーム

企業や官公庁等のWebサイトには、問い合わせ機能を備えたサイトも少なくない。
問い合わせ時にメールアドレスを指定することがほとんどだが、
問い合わせた内容を「問い合わせ時に入力したメールアドレス」に送信されないサイトが少なくない。
利用者に問い合わせた内容を確認させる意味で、問い合わせた内容を「問い合わせ時に入力したメールアドレス」に送信すべきである。

6.PDF

最初に記した経産省の【資料B】だが、「PDFの物理的なページ番号」と「資料内容の論理的なページ番号」が異なっている。
資料のPDF化を念頭において、「PDFの物理的なページ番号」と「資料内容の論理的なページ番号」は合わせるべきである。
PDFの話なのでついでに。官公庁等が公開するPDFだが、その元となる資料の大半はワード・エクセル等のオフィス系ソフトで作成されていると考えられる。なぜ元となったオフィス系ソフトの文書ファイルを公開しないのだろうか。特に統計情報は、アナリスト等が別途オフィス系ソフトにコピーして解析していると思われる。つまり非常に無駄な作業が、全国規模で行われていると思われるのだ。元文書の改ざんされたものが出回ることを心配するのであれば、ハッシュ値(SHA1/MD5)を公開すれば良いだけのことである。

(*1)
SHA1=A8485AB8EB0264ECE7E7E6F0DFC153BCCA1617A8
MD5=3036E52BAA248A1FD263B712AE0A41B9

(*2)
SHA1=8582B77A0095646F8DEA1D377E908BC9EECA9542
MD5=67E5EA4EA8E07EBEB3B73D8202E4A614

※本日、はてなさんのブログから引っ越してきました。はてなさんのブログは適当な時期に閉鎖予定です。
posted by exceptionCatcher at 17:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 品質 | 更新情報をチェックする
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